中堅企業とレピュテーション・リスク

レピュテーションとは

レピュテーションとは                               レピュテーションとは、「評判」の意味で、この場合、企業を取り巻くステークホルダー(取引相手、顧客、金融機関、従業員等)の企業への信用・期待と言えます。企業の社会的信用です。   企業は、その活動する社会で一定の信用を獲得すると、より優秀な人材を獲得でき、その手掛ける製品、サービスに信頼を持たれ、金融機関からの資金調達もスムーズに行われる等事業の展開を有利に進めることが出来るようになります。        この意味で、レピュテーションは、企業の最も重要な資産と言えます。これを脅かすのが、レピュテーション・リスクです。

脅威                                       レピュテーション・リスクは、ほとんど何の前触れなしに経営者に襲い掛かり、会社の社会的信用を一瞬のうちに失墜させ、窮地に陥れます。このリスクは、多くの企業リスクの内でも最も深刻で最大なものと言えます。特に、業容を拡大し、業界、地域社会に高い地位と評価を確立するようになった中堅企業には特に深刻なダメージを与えます。

深刻なダメージ                                  このリスクに襲われると、マスコミに報道され、顧客からも、原材料の供給先からも、金融機関からも見放され、経営者の辞任、会社再編成に追い込まれる可能性が出てきます。

具体例と風評

  • 2000年の雪印乳業集団食中毒事件: 親会社まで影響 役員交代、社名変更
  • 2007年のミートホープ食肉偽装事件: 信頼を失い倒産

これらは、あまりにも有名です。                          実際のところ企業による不祥事は、毎年、数多く報告され倒産も発生しています。    特に、有力媒体に実名入りで記事として取り上げられると、企業は、危機に陥ることになります。

リスク管理の失敗                                 レピュテーション・リスクは、企業のリスク管理の失敗が原因です。当然、リスク管理体制の弱い部分から多く発生します。                          リスク管理の失敗は、通常、じわじわと企業の社会的信用を浸食していきますが、以下の様な場合、企業にとり決定的な脅威となります。

  • 多くに人の関心を引く重大な損害を伴う事故を発生させること
  • 発生した事故に対し、その企業に期待されているレベルの安全対策をしていないかったことが明らかになる場合
  • 重大なコンプライアンス違反を内部告発等により公表される場合

以上のような場合に、その事実を隠したり、小出しにしたり、うそを発表したりすると、過去の多くの例にある通り深刻な結果を招きます。

企業に対する評価基準の変化                            また、注意すべきは、社会の変化につれて、社会・ステークホルダーの企業に対する期待の内容が、知らぬ間に変化することです。現在も ESG SDGsなど、企業の戦略、社会的責任に関係する新しい価値基準の導入が、叫ばれていますが、これらの運動を契機に企業に対する期待も変化する可能性があります。これを無視していると、危機に陥る可能性が出てきます。これらの運動等による社会的価値観の変化を注意深く見守る必要があります。

 ESG ;Environment Social Governanceの略                  環境・社会・企業統治に関し、“しっかりした企業統治のもとで、環境や社会を意識した投資を行わなければ、企業の長期的成長は実現できない”とする考え方で、多くの国際的な投資ファンドの企業投資の選別基準になりつつある。2050年を目標とする日本政府のゼロカーボン宣言もこの流れの中のものと言える。リスク管理の失敗からの地域社会に影響を与える規模の事故の発生等が企業統治の観点から、また、エネルギー効率の悪い工場、カーボン排出等が、今までより厳しく評価される可能性があります。

 SDGs;Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)          2015年に国連サミットで採択された2030年までに達成しようとする日本もコミットしている17の国際目標です。その中のいくつかは、社会の価値基準の変化による企業活動に直接影響が出てきそうなものがあり注意が必要です。例えば、働き方改革、女性の登用、外人労働者の取扱い、エネルギー、排出ガス等

対策                                        根本原因であるリスク管理をその企業の社会的地位にふさわしいレベルまで整備(企業に対する期待値と実態を一致させる)し、さらに、リスク管理の失敗を少なくする事です。具体的には、

  • 一度、自社のリスク状況(及び、コンプライアンスの遵守状況)を総点検し、脆弱な部分を見つけ対策を取る                          (通常、多くのリスクに関し、一定のレベルの対策は、既に取られているはずです)

  • 各リスクを評価し、第一線の現場の各ラインのスタッフがフォローすべきリスクと経営トップが特に継続的に注意すべきリスク(通常3~5個)を特定する

  • 継続的にリスク管理を行う為のリスクマネジメント体制を構築する。その際、組織全体のキャパシティーを考え実行可能で無理のないものにする          (企業のリスク状況は、常に変動していくため通常のオペレーションに無理なく組み込める体制の構築が必要です)