賠償リスク

賠償リスク

このリスクは、企業にとり非常に重要です。企業が、その活動を通じて、第三者の権利を侵害するリスクだからです。

また、このリスクの内容は、社会情勢、企業の業務内容により変化します。

常に、今日の取り巻くリスク状況を分析しながら対応する必要があります。

賠償リスクの重要性と軽減

この分野では、各業界それぞれが特有の賠償リスクを抱えています。

企業はその業務を遂行するにあたり、その業務特有の賠償リスクにより第三者の権利を侵害しないよう最大限の努力を払う必要があります。

事故を起こし、第三者に損害を与えた時、十分な安全策を採っていなかったとステークホルダーから見做されたとき、企業の社会的信用は、大きく傷つきます。

各業界ともに、顧客の安全を守る規則等がいろいろあります。社内体制を整え、最低限これら規則を遵守する必要があります。

この分野では、コンプライアンスリスク(法律・規則等の順守)が、非常に重要です。

危機管理と危機対応準備

企業が、重大なコンプライアンス違反を犯し賠償事故を発生させた場合、危機に陥ります。この場合、迅速かつ適切な対応が求められます。一歩間違えると事態は深刻化し、存続の危機に陥ります。このため、事前に危機対応計画の策定と危機コンサルタントの手配が可能になる準備が必要です。

この場合も、どの様な準備をするかは、企業規模、業種、その置かれた社会的地位等により変わります。リスクマネジメント体制やBCP計画と同様に、その企業の規模や置かれた社会環境に応じた、適切で実行可能な準備を行う必要があります。

リスクアセスメント

賠償リスクの種類は、非常に多岐にわたります。

新しい事業に進出する場合には、予めリスク・アセスメントを事前に行い、必要な対策、特にコンプライアンス順守に努める必要があります。そのリスクが保険でカバーされているかの確認も必要です。

PMLの適切な決定と継続的見直し

企業は、業務遂行に当たり付随するリスクを完全に回避することは、不可能と考えられています。従って、事故発生の時、十分な補償の準備ファンドが必要になります。

どのくらいの準備(PML)が必要かは、事業環境の変化、社会のセンチメント、判例の変化等により変わります。社会情勢等を注意深く対応する必要がありあます。

多くのタイプの賠償事故は、小損害は比較的多く発生し、巨大事故は、めったに発生しないという特徴があります。

例えば、車の接触事故は多く発生しますが、死亡事故は、それに比べめったに発生しません。

食品工場での異物混入は、比較的多く発生しますが、ほとんどが、出荷前に発見されます。汚染された製品が大量に出回り回収を余儀なくだれることは、めったにありません。

このよくおこる小損害に目を奪われ、肝心なめったに起こらない巨大事故への備えが、不十分な場合が多くみられます。特に、保険料を予算内に抑えるため、良く発生する小損害の補償を傾斜させ、補償限度額を削る場合がよく見られます。小損害は、当期利益に影響を与えますが、巨大損害は、企業の存立に影響します。

また、損害額も社会情勢等により大きく変わる場合があります。例えば、法定利息の変更が、2020年4月からこれまでの5%から3%へ変更になりました。これにより

人身賠償事故の逸失利益計算が変更され、大幅な増額になります。

この様に、既に購入済みの賠償保険の補償限度額見直しも、継続的の行う必要があります。

特にPMLの算定で重要と思われるリスクの主なものは、以下の通りです。



  • 海外PLリスク
  • 食品PL(回収)リスク
  • 環境汚染リスク
  • 人身賠償リスク
  • サイバーリスク

以上が全てではありません。個別の賠償リスクを慎重に分析して決定する必要があります。